認知度の低い中小企業が採用力を強化するために弊社が実施している8つのステップを公開します。8つのステップそれぞれ弊社が採用コンサルティングで「どのようなポリシー・アプローチで臨み、会社の変容を促していくか」を書いています。あなたの会社に採用イノベーション(人気企業化)のヒントにしてみてください。
目次
ステップ1:「組織風土の分析」
採用する社員一人あたりの組織風土へのインパクトを考えてみましょう。そのインパクトは大手企業より中小企業の方が大きくなることは容易に想像がつくのではないでしょうか。
数千人規模の大企業では、問題社員が入社してきたとしても、数千人分の1の存在です。問題があったとしても周囲のあり方やフォローで薄まっていくものです。一方、人数の少ない中小企業では数十分の1、十数分の1、数分の1の存在です。問題社員だからといって、簡単に辞めさせる訳にもいかないですし、教育で変化を促すにも時間がかかります。
「どのような人材が自社の組織風土にフィットするのか?」
「事業の成長段階を鑑み、どのような人材が自社に必要なのか?」
は大手企業より中小企業の方が真剣に考えるべきことのように思います。
また、『風土が合わない』という項目は退職理由ランキングで常に上位にランキングされます。早期離職防止・定着率向上のためにも組織風土分析はオススメです。
組織風土分析を行うと採用活動への示唆はもちろん、経営マネジメントや教育のヒントとしても、
以下のような項目が把握可能です。
- 「経営者が大切に考えていることが、どの程度組織に浸透できているか?」
- 「積極行動項目と消極行動項目から見る組織風土」
- 「経営者と管理職によるマネジメントの一致傾向(社員が方向性に迷っていないか?)」
- 「ストレス対処が必要な年齢層及びフォローが必要な社員の特定」
- 「モチベーションの傾向」
ステップ2:「人材要件定義」
募集ポジションに必要なスキル・人脈・経験・知識・スキルといった人材要件を整理します。また適性検査を利用し、募集ポジションで最低限、意識して欲しい行動を明らかにします。
この最低限、意識してほしい行動は「求める人物像」のコアです。
どんなスキルや経験が見合っていても、最低限、意識して欲しい行動が会社(社長)が求めるものにフィットしなければ、早かれ遅かれトラブル・不和の元になります。
例えば「ストレスに弱い」「自分勝手な行動が多い」「粘り強さがない」「感情的で主張ばかりが目立つ」
「場の雰囲気を読もうとしない」「思いやりがない」「受け身な姿勢」etc.
最低限意識して欲しい行動はポジション(階層や役職)によって異なります。例えば、人と交わることがなく、一人で黙々と作業することが必要な職種もあるでしょう。その場合、「思いやり」という行動は必ずしも求められる行動(最低限意識して欲しい行動)ではないかもしれません。
また同じ営業職であっても「営業1部」と「営業2部」では意識すべき行動が変わってくる可能性も十分にあります。なぜなら配属予定先の上司によって重視する行動が全く異なるケースはままあるからです。
例えば「よく考えてから俺のところに資料を持って来いよ。」という上司Aと、「分からないんだったら、さっさと俺に相談しろよ。」という上司B。それぞれ新卒の部下を配置したとします。どちらの育て方が正しいとか、間違っているという話ではありません。二人の上司で重視している行動が全く違い、それぞれ配属になる部下の育ち方も変わってくると話です。部下はそれぞれの上司の指導を受けて、数年後、全く別の行動に重きをおくように育っていることが予想されます。
この重視される行動のことを「行動価値」と呼びます。「行動価値」の違いを世間では「相性が悪い」「なんかあいつズレてるな」「浮いてるよね」と評価するのです。
新卒採用ではもちろん、中途採用でもこれまで培ってきたスキルや経験を存分に生かしてもらう(自社に定着し、活躍する)ためにも「相性」を確認することはとても重要です。どんな行動を大事にしている候補者が欲しいのかしっかり検討して採用に臨むようにしましょう。
弊社では性格(パーソナリティ)でなく、どんな行動に日々重きをおいているか(行動価値)を採用を検討することをオススメしています。適性検査で「求める人物像」の暗黙的で曖昧なフィーリングを数値化し、候補者との行動価値適合度(相性)を算出します。これにより候補者のどんな行動が求めるものに合い、また合わないのかを把握でき、効率的かつ効果的な面接を可能にしています。
ステップ3:「魅力の棚卸・準備」
シンプルな真実ですが、『魅力がなければ人は集まりません。』徹底的に魅力を棚卸しします。
一緒に棚卸しをしていくと、
「えっ、うちの会社はこんな風に見えるんだ!」
「うちの会社ってこんな表現や説明ができるんだ!」
と驚いてもらえることが多々あります。
ポイントは『候補者視点』です。経験豊かな採用コンサルタントであれば、多様な業種・職種の現場に深く関わっているはずです。経験に基づき、求める人物像(候補者像)をスピーディにイメージし、その人物の視点から会社にとっての魅力を考えます。
魅力が曖昧であれば、言語化したり、具体的にイメージとして目に見えるようにしていきます。さらに、候補者を魅きつけるために必要な魅力が不足していれば、経営者とディスカッションし、さっさと作り上げていきます。
例えば人事制度がない場合、候補者に「入社後フェアに評価してもらえる会社だ!」とは感じてもらいにくいでしょう。必要最低限の制度を初年度に検討・導入し、徐々に会社にフィットするように毎年ブラッシュアップしていく方法をとります。
『会社の魅力』は会社説明資料や採用ホームページに落とし込んでいきます。ちなみに会社説明資料は立派なパンフレットを作ったりせず、パワーポイントで作成します(十分アピールできるものが仕上がります)。採用ホームページはデザインよりも、まず情報の質と量が大事です。
ステップ4:「選考ステップの検討」
「求める人物像」に応じて選考ステップを検討します。
魅きつけと見極めのポイントを考慮しつつ、
「会社説明会」、「筆記試験」、「ゲーム」、「適性検査」、「1dayインターン:体験就業」、「食事会」、「実地試験」、「グループ面接」、「面接」、「社員との面談会」、「プレゼンテーション」
など適切な選考手法や選考回数を検討していきます。
ステップ5:「募集」
募集活動をスタートします。中小企業の採用活動では可能な限り、網を張って行くことをオススメしています。
まずは、株主、取引先、社員の親族、友人、知人、先輩、後輩、お客様、お客様の知人といったお金の極力かからない所から候補者の紹介依頼をかけてみてはどうでしょう?
もちろん、求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティングといった採用支援サービスを利用するのも良いでしょう。今は売り手市場ということもあり、採用が難しいため多様なサービスが出現しています。
これまでに採用実績のない候補者層を狙って採用していく場合は、費用対効果を見極めつつ、何らかの採用支援会社を利用することをお勧めします。最初から自社独自で候補者を集めるのは難しい挑戦です。釣りをするために自分で魚のいる池を作ろうとするようなものです。(自分で池を作るにもまず「実績」はあった方が良いでしょう。)
まず魚のいる池に行くこと。そして、自社の釣り具や餌が妥当が狙った魚を獲るために妥当なものであるか確認するステップは必要でしょう。
つまり、候補者がどこにいるのか検討した上で、候補者に自社の魅力をどのように伝えれば、もしくはどのように磨けば候補者に響くのかテストし、ブラッシュアップしていきましょう。
ステップ6:「適性検査」
適性検査は候補者の人物像について仮説を立てる役割を担います。
・自社の風土、直属の上司との相性は良さそうか?
・ストレスには強そうか?
・入社後、リスクになるとすればどんな行動か?
・面接でどんな質問をするべきか?
1時間の面接の中で、プロフィールの確認に加えて候補者に上記の内容を確認しようとするのはプロでも簡単な話ではありません。
その見極めをデータの蓄積による分析で効率的にできるだけ精度高くやっていこうとするのが適性検査です。
適性検査も色々な種類がありますが、上記の4点を合わせて出力できるような検査は限られています。また100問や200問も聞いて(つまり時間もかけて)、「候補者の特性が分かります」というのは当たり前の話です。
できるだけ短い設問数(時間)で多くの示唆を提供できるのが良い適性検査と言えます。
また実績の他、日本心理学会や日本教育心理学会といった日本の心理学の世界で最も権威のある学会で発表されていることなども統計的な信頼性を推し量る上で大事なポイントになるでしょう。
ステップ7:「会社説明会」
会社説明会を開催しない会社もあるのではと思います。ですが、このサイトで登録できるメールマガジン「100の鉄則」を愚直に実践していくと、少人数(例えば3人とか、5人とか)でも開催できるようになっていきます。
個別対応でも良いのですが、少人数であっても開催できれば「この会社は注目されているんだな」という雰囲気が生まれます。そこでの会社説明会でのプレゼンテーションはとても重要ですし、コンテンツとプレゼンテーションをしっかり磨きましょう。
勘違いのないように申し上げると、どこかの大手企業のように派手な雰囲気を醸しだす全く必要はありません。
ステップ7:「面接」
面接では場当たり的に質問を考え、雰囲気だけで「なんとなく活躍してもらえそう」と採用を決定してはいけません。「こんなはずじゃなかったのに!」「面接の時と雰囲気が違う!」という失敗の元になります。中小企業の採用失敗の原因はほとんどここにあります。しっかりと候補者について人物像の仮説を持って面接に臨むようにしましょう。
また、あなたの会社の面接では「これを面接で聞けば自社での活躍が推し量れる!」という、スーパーな面接質問項目はお持ちでしょうか?弊社セミナーの中でも一緒に検討したりもするのですが、是非あなたも時間をとって考えてみてください。アンテナが立つと必要な情報が降ってきますし、良い面接の準備になるのではと思います。
もう1点、面接は候補者を見極めるためだけにあると思っていませんか?半分当たっていますが、半分間違っています。認知度の低い(応募が集まらない)中小企業であれば半分以上かもしれません。
なぜなら、中小企業の面接には『見極め』だけでなく、『魅きつけ』の要素が大事だからです。
例えば面接時間が1時間あるとして、面接の進め方にも『見極め』と『魅きつけ』両面の工夫が必要です。
長くなるので改めてご紹介しますが、見極めながら魅きつけるコミュニケーションを意識しなくてはいけません。ポイントは質問→回答→フィードバックの流れにあります。
ステップ8:定着率を高めるために
定着率を高めるポイントは『選考』と『配置配属』にあります。
定着率を高める選考時のポイント
定着率を高めるポイントは先述もしていますが、選考時に「自社との相性」と「ストレス耐性」を見極めることはまず大事です。さらに候補者には、3年後、5年後、10年後の少し遠い未来の目標として「こうなりたい」を考えてもらいます。入社すると目標が「実現可能」になる前向きなキャリアが歩めるとイメージしてもらうことも面接官(社長・人事)の大事な役割です。*「自社との相性」についてはステップ1、2をご参考ください。
ストレス耐性について
「ストレス耐性」についてはインターン(体験就業)等で見極められると良いのですが、なかなか中小企業では受け入れの体制も整わず難しいかもしれません。しかしながら面接だけで見極めるのはなかなか難しいものです。可能であれば、統計学的の意味のある受検データを蓄積している適性検査を活用されることをオススメします。
ただ、ストレスを測れるという適性検査で、「いかにも、これストレスへの強さを聞いてるな」と分かる設問が並んでいるものがあるのですが・・・
(例)
・「最近ご飯が喉を通らない」
・「人混みに行くことドキドキしてしまう」 etc.
当たり前ですが、採用がかかる検査であれば候補者は当然、素直に答えません。ストレスを想起させない質問で、ストレス耐性を把握できる検査がベストです。(*ちなみに弊社が提供する行動価値検査の質問はストレスを受検者に想起させず、ストレス耐性を測定します。)
目標をイメージ。面接から教育が始まっている!
基幹社員の採用であれば3年、5年、10年スパンでの目標をしっかりとイメージさせることが大事です。
5年、10年のイメージなんて面接で聞いても漠然とした答えしか出てこないので無意味という声も聞こえてきそうですね(笑)この質問は候補者と一緒に採用側のあなたも考える質問です。
- 「今後、どのような会社にこの候補者と一緒に成長させていけそうか?」
- 「会社の成長の中でこの候補者にはどんな役割を担ってもらえそうか?」
- 「この候補者が入社して実現したいことは何か?」
- 「候補者が興味を持っている分野で、現実的にどのように携わってもらえそうか?」
を一緒に考えていくのです。
もちろん、一朝一夕に目標にたどり着くことはできません。目標に向けて学ぶべきこと、身につけるべきこと、経験すべきことについて当然、触れていきます。(これは一方的に採用側が話してはいけません。候補者本人にも考えさせましょう。)
候補者の伴走者のつもりで、あなたの会社での候補者のキャリアを前向きに「実現可能だ」とイメージさせて行きましょう。「こうありたい」という目標が本気であれば、甲子園球児達のように、また花園を目指す高校ラガー達のように、目標への道程が多少大変であっても乗り越えて行けます。
定着率を高める選考時のポイント
先述もしていますが、一緒に仕事をする社長(医院であれば院長)との相性、もしくは配属予定先の上司との相性は大事です。なんとなくのフィーリングで配置をしてしまうと、「なんか合わない」「あいつはちょっとおかしい」なんてことが起こります。
大手企業でも「なんとなくこの人はあの部長に合いそうなんだよねー。」とフィーリングで採用や配置を検討する会社は少なくないのですが、実は最近、配置配属でマッチング機能を持った適性検査が利用されることが増えてきました。
弊社でも配置配属の検討が必要な企業で、配属予定先の上司陣に暗黙的で曖昧であった「部下に最低限意識して欲しい行動(行動価値)」を適性検査により数値化し、採用時点の部下候補の適性検査結果を元にマッチングし、誰に配置配属すると立ち上がりが早いかを一覧表で提供しています。
ある上司-部下マッチングを導入されている保険会社では人事部員がこのマッチング結果を元に、配属予定先の上司に対して「今度あなたの下に配置する○○さんは、こういう行動は意識できているけど、この辺が課題です。」、部下については「今度あなたが配属になる**部の○○部長は、こういう行動を部下に求めている。」というようなコーチングを行っています。これによって「なんか合わない」「あいつはちょっとおかしい」といった出会いがしらの事故(違和感)がなくなるのです。
結果として、入社1年目の退職率が30%強あったそうですが、導入後0%になるという快挙をあげることができました。
まとめ
いかがだったでしょうか?100の鉄則では8つのステップをさらに分解し、より具体的にお話ししています。
是非、ご登録ください。
平井としひろ
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